お正月といえばおせち料理ですよね。おせち料理の主役といえば、やっぱりカズノコでしょう。実はカズノコは、美容や健康に効果的な栄養成分がとても豊富な食材。お正月だけではなく、普段の料理にもぜひカズノコを取り入れたいですね。今回は、カズノコの栄養成分や美容・健康効果、かんたんおすすめ料理をご紹介します。
おせちの主役!カズノコはお正月にぴったりの縁起物
お正月に食べるおせち料理の主役ともいえるカズノコ。あのぱりぱりとした歯ごたえがたまらないですよね。
カズノコは、日本では室町時代から食べられていた食材。このカズノコをおせち料理に入れるように推奨したのは、徳川8代将軍の徳川吉宗だといわれています。
二親(ニシン)に感謝をし、子孫繁栄の願いが込められたカズノコは、おせち料理の一の重に欠かせない食材。しかしそれだけではなく、ほかにも縁起がよいとされている理由があります。
・江戸時代の食物図鑑「本朝食鑑」によれば、カズノコは「カツノコ(加豆乃古)」ともいわれていたとの記載があり「勝つ(勝利)」を連想させる
・カズノコの黄色は風水では金の気を持ち、金運アップをサポートしてくれる色とされる
・ニシンは春を告げる春告魚として有名で、俳句の春の季語にもなっている。春とともに希望を運んでくるというイメージがある
・カズノコの形が天使の羽に似ていることから、カナダでは「エンジェルウイング」と呼ばれている
縁起のよいカズノコは、勝負ごとに勝ちたいときや運気を上げたいときにも食べたい食材だといえそうですね。
<主なカズノコ製品>
カズノコ製品には
・干しカズノコ
・塩カズノコ
・生腹だしカズノコ
・味付カズノコ
などがあります。
干しカズノコは主に高級料亭などで使用されることが多く、一般家庭で使用されるのは塩カズノコが主流です。
味付けカズノコは、塩抜きなどの手間がなくすぐに食べられます。
産地によって食感が違う?カズノコの主な産地と特徴
カズノコは、産地によって食感や味などにそれぞれ特徴があります。購入の際にはぜひ産地にも注目してくださいね。
<カズノコの主な産地と特徴>
・カナダ太平洋
卵の皮が薄くて卵同士の結着が強いのが特徴。ぱりぱりと歯ごたえがよく、味・形・色の美しさにも定評があります。贈答用のギフトとしても人気です。
・アラスカ
シトカ産とブリストル産があります。
シトカ産は歯ごたえのよいものと少しやわらかいものがあり、カナダ太平洋産と品質が近いです。
ブリストル産はサイズが大きいのが特徴で、卵の皮が固く粒感の強い食感です。
・北海道
1957年ごろにはほとんどニシンが取れなくなっていましたが、近年ではまた店頭に出回るようになってきました。国産で人気が高く、歯ごたえもしっかりしています。
・ロシア産
歯ごたが少なめで味付けによく使われているのが特徴。近年は品質が良くなってきており関東のスーパーでも販売されています。
・カナダ大西洋産・ヨーロッパ産(大西洋)
卵の結着が弱いのが特徴。歯ごたえも弱いため、松前漬けなど味付けに向いています。
ダイエット効果や血糖値改善も!カズノコに含まれる栄養成分や効果
カズノコにはニシンが育つための豊富な栄養成分が含まれており、美容や健康に嬉しい効果が期待できます。
お正月だけとはいわず、美容や健康のために普段からカズノコを食事に取り入れてみましょう。
<カズノコに含まれている主な栄養成分>
・EPA(エイコサペンタエン酸)
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
・ビタミンE
・CoQ10
・ルテイン
・ホスファチジルコリン(レシチン)
カズノコには、健康効果や美容効果が高いことで知られているEPAやDHAが多く含まれています。
EPA、DHAのウィークポイントといえば酸化ですが、カズノコのEPA、DHAはほかの魚のものよりも酸化されにくいという特徴が。これは、カズノコにさまざまな抗酸化物質が含まれているからだといわれています。
また、カズノコの脂質は中性脂肪が少なく、リン脂質が72.3%を占めている点も特徴。そのリン脂質のうち65.2%を、さまざまな健康効果が期待できるホスファチジルコリン(レシチン)が占めています。
<カズノコの美容効果>
ダイエット効果
カズノコに豊富に含まれるEPAやDHAには、肝臓での脂肪の分解促進や合成を阻害する作用があり、肥満を抑える効果が期待できます。
カズノコのEPA、DHAはリン脂質に多く含まれており、含有率が高いのも特徴。さらに、たんぱく質との相乗効果も期待できるため、高い抗肥満効果を発揮すると考えられているのです。
ダイエット中の方はぜひ注目したい食材といえそうですね。
美肌効果
カズノコには良質なたんぱく質が豊富に含まれているので、美肌作りにもおすすめ。
また、カズノコに含まれるビタミンEには血行促進効果があり、くすみや肌荒れの改善に効果的です。
さらに、CoQ10にはエネルギー代謝の低下を防ぐ作用や皮膚組織活性化が期待できます。美肌を目指す方はぜひカズノコを普段の食事に取り入れてくださいね。
エイジングケア効果
体の中で重要な働きをする一方で、過剰になると老化の原因にもなる活性酸素。体内の活性酸素を取り除き酸化の働きを抑えてくれるのが、抗酸化作用のある物質です。
カズノコに含まれるビタミンE・CoQ10・ルテイン・ペプチドには抗酸化作用があるため、エイジングケアに力を入れたい方にもおすすめでしょう。
<カズノコの健康効果>
血糖値改善
カズノコに含まれるEPA、DHAには内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果があるとされており、糖の代謝にもよい影響があると考えられています。
血中脂質改善
カズノコに含まれるEPA、DHAにはコレステロールの合成抑制・分解促進効果があるとされており、血中脂質改善効果が期待できます。
動脈硬化予防
カズノコに含まれるEPA・DHAには、中性脂肪やコレステロールを減らして血液をサラサラにし、血管が狭くなったり硬くなったりするのを防ぐ効果が期待できます。
記憶学習能力向上
脳機能の改善効果があるとされるDHA、神経伝達物質アセチルコリンの材料となるホスファチジルコリンを豊富に含むカズノコには、記憶学習能力向上効果があると考えられています。
プリン体やコレステロールは大丈夫?カズノコに関するよくある疑問
カズノコは大好きだしおいしいけれど、たくさん食べても大丈夫なの? という心配や疑問を持っている方もいるでしょう。
こちらで、よくある疑問にお答えします。
よくある疑問1 カズノコはプリン体が多いイメージがあるけれど大丈夫?
痛風の原因となるプリン体を摂りすぎないように注意している方もいらっしゃるでしょう。カズノコはプリン体が多いイメージがありますが、実は極めて少ない食品の一つ。
カズノコ2本に含まれるプリン体は、約8.8mgです。
ほかの魚卵との比較は以下の通りです。
たらこ:100g中120.7mg
明太子:100g中159.3mg
カズノコ:100g中21.9mg
これまで敬遠していた方も、プリン体が少ないことが分かれば安心できますね。
よくある疑問2 カズノコはコレステロールが多いの?
カズノコはコレステロールが多いというイメージを持っている方もいるでしょう。
しかし実は、カズノコのコレステロールはそこまで多くありません。
カズノコ100g(塩抜き、水戻し)に含まれるコレステロールは230mg。鶏卵の3分の2以下、イクラの約半分です。
よくある疑問3 カズノコは塩分が多いイメージがあるけれど……
塩カズノコはそのまま食べてしまうと塩分が多いので、適切に塩抜きを行ってから食べましょう。
ただし、塩抜きをしすぎると苦みが出るため注意してくださいね。
<適切な塩抜きの方法>
1 水1Lに対して5g程度の食塩を溶かす
2 1にカズノコを浸す
3 3時間おきに3~5回程度食塩水を替えて(合計12~15時間程度)塩抜きする
4 表面の白い膜を取り除く
ときどき少しカズノコを折って塩加減を確認するとよいでしょう。
美容や健康のために気軽に取り入れよう!おすすめのかんたんカズノコレシピ
カズノコといえばおせち料理など和食が定番ですが、フレンチやイタリアン、中華やエスニックといった料理にも取り入れることもできます。
カズノコに熱を加えると白濁してEPA、DHAも酸化しやすくなってしまうため、漬ける・和える・のせるなどの方法で調理しましょう。
こちらで、お正月や特別な日だけではなく日ごろからカズノコを食べたくなるかんたんカズノコレシピをご紹介します。
手軽に作れるものばかりなので、ぜひ試してみてくださいね。
カズノコと枝豆のワサビマヨ和え
材料(2人分)
カズノコ3~4切れ
枝豆10さや程度
マヨネーズ 大さじ1
ワサビ(チューブでもOK)適量
作り方
① カズノコを1cmの幅に切る
② 枝豆をさやから出す
③ ボウルにマヨネーズとワサビを入れて混ぜておく
④ ③にカズノコと枝豆を入れて和える
カズノコのクリームチーズ和え
材料(2人分)
カズノコ2~3切れ
クリームチーズ90g
しょうゆ 小さじ2分の1
かつおぶし 適量
作り方
① カズノコを1cmの幅に切る
② クリームチーズを1cmの角切りにする
③ ボウルにクリームチーズを入れ、半分程度を軽くスプーンなどでつぶす
④ カズノコ、しょうゆを入れて和え、器に盛ってかつおぶしをのせる
カズノコとトマトの冷製パスタ
材料(2人分)
カズノコ5切れ
トマト2個
エクストラバージンオイル 大さじ3
バジル2枚
スパゲティ160g
バジル(飾り用)適量
★塩・こしょう・タバスコ少々
作り方
① カズノコを1センチの幅に切る
② トマトを湯むきして種を取り、1cm角に切る
③ ボウルにオリーブオイルを入れ、カズノコ、トマトとざく切りしたバジル、★の調味料を入れて混ぜ、冷蔵庫で冷やす
④ スパゲティを塩ゆでして冷水にとり、水気を切って③に入れて和え、器に盛って飾り用のバジルを添える
カズノコとツナのキムチ和え
材料(2人分)
カズノコ3~4切れ
ツナ1缶
長ネギ10g
キムチ100g
きゅうり2分の1本
★すりごま大さじ1・しょうゆ大さじ2分の1・ごま油小さじ1・砂糖小さじ2分の1・ニンニクチューブ小さじ2分の1
作り方
① カズノコを1.5cmの幅に切る
② ツナは油を切っておく
③ 長ネギは粗みじん切り、きゅうりは縦半分に切って斜め切りにする
④ ★の調味料を混ぜ合わせ、①、②、③とキムチを入れて混ぜ、器に盛る
最後に
おせち料理に欠かせないカズノコは、栄養成分たっぷりで美容・健康に嬉しい効果がたくさん。お正月や特別な日だけではなく、ぜひ普段の料理にも取り入れてみてください。先ほどご紹介した火を通さずに和えるだけのかんたんカズノコレシピも試してみてくださいね。